
ハワイのペトログリフは、古代のハワイの人々の習俗であった入れ墨のデザインと酷似していることが指摘されています。
1899年、Dr.Kramerがカウアイ島で行った調査では、胸から肩にかけて「コアエ」という7匹の鳥のデザインをあしらった
入れ墨をしたハワイアンのことを記録していますが、このデザインは、ハワイ島プウロアで見つかっているペトログリフの
デザインと全く同一だということです。
では、その入れ墨にはどういう意味があったのかというと、例えば、クックの第3次航海に随行した医師William
Ellisによれば、「マウイでは、男性も女性も、住む地区によって、あるいは、どのアリイ(大酋長)の支配下にいるか
によって、入れ墨のデザインが異なっている」と観察しています。
これらから、ペトログリフは僧侶によって描かれ、イニシエーション(秘技伝授)の儀式に使われた、という仮説も提唱されています。
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ハワイ島に、プナという、古代ハワイの中心地であった地区があります。ここにプウロア(長い丘)という場所があり、
昔から、長命を祈願する場所として有名でした。ここには数多くのペトログリフが残っているのですが、ある種の「殿堂・記念館」
として、高名な兵士や僧侶などの姿を岩に彫って永遠にそれを記念し、また、彼らの長命を祈願した、と考えることもできます。
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面白いペトログリフとして「PUNOHUペトログリフ」と呼ばれるものがあります。見てわかるようにこれは、
19世紀になってハワイにアルファベットが伝えられた以降に制作されたものです。PUNOHUとは、大波が押し寄せる、
とか、灌木が繁殖する、というような意味を持ちますが、これと、絵文字を同じ意味だと考えれば、いわばロゼッタストーン
(ヒエログリフと古代ギリシア語の対訳でヒエログリフを解明)のようなアプローチで、ペトログリフが「読める」
ようになるのかもしれません。
※画像出典:「Petroglyphs of Hawaii」より