ハワイの神話と伝説~ハワイの宗教とヘイアウ

 ハワイ諸島がハワイ人だけのものであった頃、すなわち、19世紀のはじめにカメハメハ大王が ハワイ諸島を統一した頃までは、ハワイ各島では、クー、カネ、ロノ、カナロアの四大神をはじめ、 「八百万の」神々、精霊が信仰されていました。大王も守護神として、戦いの神クー・カイリ・モクを厚く信仰していました。

プウコハラ・ヘイアウの建設風景(想像図) 「Ancient Hawaii」より

それらの神々や精霊に祈りを捧げる場所として、ヘイアウは建設されました。建設にあたっては、その土地の大酋長の命令で、 カフナ・クヒクヒ・プウオネと呼ばれる技術神官が設計を行い、酋長の治める土地の人達総出で建設にあたりました。大きなヘイアウは、 熔岩を城壁のように積み上げて作られるために、多くの人手を必要としたのです。 カメハメハ大王が、予言に従ってハワイ統一祈願のためのプウコホラ(鯨の丘)・ヘイアウという壮大なヘイアウを建設したときには、 平民階級のみならず、貴族階級、そして大王自らもが石を運んだと言われています。

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ただ、古代ハワイの宗教は何も大がかりなヘイアウだけを舞台としたものではなく、もっと深く人々の生活に根ざしたものでした。 一般の家屋にも、「ポハク・オ・カネ」(創造神カネの石)と呼ばれる 大きな石が据えられているのが普通でした。この石の周りには通常、ティーの木が植えられ、 もっぱら男性の手で、豊穣の祈りなどが捧げられたということです。

ポハク・オ・カネとヘイアウの中間の規模のものとして、海辺や川沿いには、「コア・クウラ・ホオウル・イア」(略してコア、 と呼ばれる)という祈祷所がありました。
そこには、魚の形をした石が置かれ、漁の神であるクウラに祈りが捧げられました。また、多くの場合、コアは2つ対になる形で 設置され、片方は漁の女神、ヒナヘレのためのものでした。

その他、カヌーの安全航海とか、道祖神のようなものとか、様々な目的で祈祷所が建てられましたが、いずれもその中心にあった のは「石」(ポハク)であり、古代ハワイの人々が、霊力(マナ)の宿りどころとして、いかに石を大切にしてきたかがわかります。

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