アフプアアとは、古代ハワイのもっとも基本的な土地利用単位であり、生活の単位であり、
社会経営の単位でした。アフプアアは、山頂から川の上流、河口までを含んだ、ピザを分
けたようなかたちをしており、飲み水、食料(海の幸や山の幸や家畜)、建築資材、衣服
の素材、装飾品まですべてその中で生産・消費できるという、生態的には全く無駄のない、
「きちんと閉じた」体系だったのです。アフプアアの実際の面積は40ヘクタールくらい
の小規模なものから、4000ヘクタールにも及ぶ大規模なものまでさまざまでした。
オアフ島のアフプアア区分
アフプアアの語源は、アフ(台、祭壇)+プアア(豚)ということで、アフプアア同士の
境界線上に、豚の頭をかたどったククイの木の像が置かれていたことによります。(右図)
アフプアアよりも大きな土地の単位もありました。一番大きいのは、当然ハワイ全島で、
これを束ねる王のことをアリイ・アイ・アウプニといいます。現代のハワイ語ではモイ、
と言いますが、モイという言い方はカラカウア王の頃に始まったようです。
次に大きいのが島の単位。カウアイ島、オアフ島、マウイ島、ハワイ島という4つの「モ
クプニ」があり、このモクプニ単位で統治していたのがアリイ・ヌイ(大酋長)です。
ちなみに、ニイハウはカウアイに。モロカイ、ラナイ、カホオラヴェはマウイのモクプニ
に属します。現在のハワイ州での、カウアイ郡(カウアイ島+ニイハウ島)、マウイ郡(
マウイ島+ラナイ島+モロカイ島+カホオラヴェ島)、ハワイ郡(ハワイ島)、ホノルル
市郡(オアフ島と北西諸島)という区分と同じです。
「モクプニ」の下が「モク」という単位で、アリイ・アイ・モクが統治しました。各モク
の単位は、ウミ王の頃に定められた境界線が、現在でもほとんどそのまま市・郡の行政区
分となっているようです。このモクをさらに分割したのがアフプアアで、統治はアリイ・
アイ・アフプアアです。アフプアアは最終的には家族の生活単位である「イリアイナ」に
分割されましたが、個人の土地所有の概念というのはなく、あくまでも、すべての土地は
酋長による所有ということになっていました。