マカヒキ祭は、古代ハワイでの1年で最大の行事で、ロノ神を主神とする、4ヶ月にも及
ぶ代イベントでした。10月中旬、日没にプレアデス(マカリイ)が東の空に見えるよう
になるとカフナによってマカヒキのはじまりが宣言されます。
マカヒキの間は、戦争行為がカプとされました。寺院での儀式も中止され、食事の用意な
どを除き、家作りやカヌー作り、カパやラウハラ作りといった不急の仕事も休みになりま
した。農作業も4ヶ月の休みに入ったのです。
マカヒキの時期には年貢が集められ、酋長に献納されました。酋長またはその代理人が回
って来るのですが、食べ物は腐りやすかったのでいったん年貢として収められるや否やす
ぐに、カフナや酋長の同行者の間での分配が行われたといいます。
年貢を納めたものはその見返りに、酋長からの祝福、いわば酋長を通じた神からの祝福が
授けられました。来年の豊作と、良い雨、そして諸々の幸福が約束されたのです。年貢を
納めた後は皆リラックスし、ゲームや踊りに興じました。とにかくこの4ヶ月間はカプの厳
しい掟から自由で、ハワイの人々にとって大いなる気分転換になっていたようです。
マカヒキは収穫祭でもありました。犬や鶏や魚の肉が捧げられました。ただし豚は、ロノ
の化身であるとされていたので用いられません。タロ、サツマイモ、バナナ、ブレッドフ
ルーツ、ヤムイモ、葛根、ココナツ、さとうきびなど数々の食物と、カパやラウハラのマ
ットなどさまざまな工芸品が納められたのです。
下の図は、ロノ神を象徴した、「ロノマクア」と呼ばれる白布です。長
い棒が「T」の字に組み合わされ、棒の交点には、ロノの木像があります。横木からは鳥
の羽のレイや、シダが垂らされていました。キャプテンクックがマカヒキ祭の最中にハワ
イ島に来航した際、ロノ神と間違われて崇拝されたというのは有名な話ですが、クックが
乗っていたレゾリューション号の帆は、まさにロノマクアそっくりです。