現在ハワイで見られる植物は、大きくは下記の3つに分類されます。通常、植物を分類す
るときには固有種か外来種かという2つに分けますが、ハワイでは、ハワイ独自の方式と
して、「ポリネシア伝統植物」というものを分けて考えるようです。
固有種(5世紀以前からハワイに存在していた植物)
ポリネシア伝統植物(5~18世紀にポリネシアから渡来した植物)
外来種(19世紀以降に持ち込まれた植物)
植物学者の推定によれば、ポリネシア人のハワイ移住が始まる前、ハワイには固有種とし
てすでに1000種類を超える植物が繁茂していたといいます。ただし、食用に適したも
のはほとんど無かったようです。
固有種の特徴として、捕食者がいないために、棘や、いやな臭いを発するものがない。ま
た、鳥や昆虫の固有種は、飛ぶ能力を失ったものもあります。(ネネなど)
食用の固有種で現在でも残っているのはラマの木、オヘロの木など数種類だけです。食用
以外だとコアやオヒア、イリアヒなどの原生林が残っています。
外来種には、プルメリア、ブーゲンビレア、ほとんどのハイビスカス、コーヒー、アンス
リウムなど、現在の観光地ハワイを彩る花の大半が含まれます。
古代ハワイの文化に密接に関係していたのは、なんといってもポリネシア伝統植物です。
ここでも、この種類の植物を中心に解説していきます。
※植物の挿絵はすべて「Ancient Hawaii」(Herb Kawainui Kane)からの抜粋です。
■固有種の例:コア
コアの木材は非常に硬いので、昔はカヌーやサーフボード、ホルアボードなどに使用され ていました。(ホルアは、そりのようなもの)。コアの葉を灰にしたものは虚弱児用の
薬 になり、樹皮はカパの染料として用いられました。
また、極めて美しい木目と光沢があることから、近年に入ってからは家具や楽器、工芸品
の材料として珍重されて伐採されたためにその数が非常に少なくなり、現在では、たとえ
倒木であっても採取は禁じられています。