カオノヒオカラは、まさに太陽の中心に住んでいました。要するに天の神だったのです。
彼は母と妹がわざわざ訪ねて来てくれたことに感激し、ライエイカワイの夫になることを
承諾しました。同時に、アイオヒクプア、ワカ、ハラアニアニ、マリオには罰を
与えようとも言います。
カオノヒは、まずは太陽からパリウリまで虹の道をつなげて、妹をライエイカワイのもとに
送り返します。しばらくして、神々しい酋長の姿でみんなの前に登場するカオノヒ。
ライエイカワイを苦しめた人々に罰を与えた後、妹マプアナを島の統率者に任命し、
みずからはライエイカワイを連れて天に昇っていきました。
カオノヒとイカワイの、天上での幸福な生活が始まりました。
カオノヒは時折天上の家を出て地上に向かうことがありました。
これは、天の王として、ときどき地上の監視に行くのが目的でしたが、あるとき、
パリウリにイカワイと同じくらいの美しい女性がいるのを発見します。
そう、イカワイの双子の妹、ライエロヘロヘです。
ロヘロヘを見つけた頃からカオノヒが天上を留守にする日が増えてきました。
もちろん、王としての仕事もありましたが、実は、ライエロヘロヘを狙っていたのです。
カオノヒは王の地位を利用し、ロヘロヘの夫、ケカルカルオケワに辺境警備の仕事を
いいつけ、しばしばロヘロヘを1人にさせて、その隙に彼女のもとに通っては、
浮気を続けていたのでした。
また、辺境警備に出かけたケカルカルオケワは、彼は彼で、マウイ島のハナに
愛人を作っていたのです。もうでたらめです。
こんな生活が数年続きました。最初は全く疑っていなかったライエイカワイですが、
夫があまりに頻繁に外出するようになったことに疑問をいだいて、彼の両親に相談します。
そして、魔法のひょうたんを借り、みんなで地上の様子を見てみました。
カオノヒの露骨な裏切りは全員に目撃されました。両親も怒り心頭です。カオノヒは即刻
天の神を解任され、天上から追放。お化け、という意味の「ラプ」という名前に改名させられ、
蛾を食って生きる妖怪にされてしまったのです。
居眠りをしていた長髭の老人は、実は天の神よりも偉かったのですね。