カナロアは、ポリネシアの大半の地域ではタンガロアと呼ばれる、最も偉大でかつポピュラーな創造神です。
クック諸島では、右に示すように、タンガロア(カナロア)は通貨のデザインにまでなっています。
また、海や漁業の神としても信仰されており、航海の安全や豊漁を祈願して木製の像がカヌーの舳先に
取り付けられることもあったようです。
カナロアと海は関係があるようで、なかでも、タコと関係が深いようです。ハワイの創世神話クムリポでも、
カナロアは「変なにおいのするタコ」と、あまり褒め言葉とは思えない表現でうたわれています。というわけで、カナロアのキノラウ(化身)は、
1:ヘエ(蛸)。2:アラアラプロアという香草(アラアラは蛸の肝)
とされています。
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ハワイ神話においては、カナロアはカネと仲がよく、2人が人間の姿でコンビを組んであちこちを
旅していく姿がさまざまなエピソードとして伝えられています。
下記はそのエピソードの1つ、カネアプアの岩の伝説です。
昔、カネとカナロアはラナイ島の南西、カウノルというところに住んでいたことがありました。
そこには年の離れた弟、カネアプアも同居していました。あるとき、のどが渇いたカネとカナロアは、
弟に、「ラナイで一番高いラナイハレという山の泉まで行って水を汲んで来い」と言いつけました。
しぶしぶ出かけたカネアプアですが、泉に着いたカネアプアは、水を汲む前に、急におしっこがしたくなり、
思わず泉の中におしっこをしてしまいました。「まずいことをした」と思ったカネアプアですが、
なんとそのままおもむろに水を汲むと、2人のところにとって返したのです。
カネとカナロアはあまりにのどが渇いていたので、なんだか妙に濁った水だとは思いながらも 一気に飲み干してしまい、
一息ついた後で、カネアプアのおしっこが混じっていたことに気がついたのです。
怒った2人は、カネアプアを置き去りにしてラナイをあとにしました。
今でも、ラナイ島カウノルにはカネアプアの岩、と呼ばれる岩があるのです。(アプアには逆らうという意味もある)