メネフネの伝説といえばカウアイ島ですが、珍しく、ハワイ島BigIslandにもメネフネ伝説が残っています。
カイルア・コナからよく見えるハワイ島第3の火山「フアラライ」と、コナ空港のすぐ北にある「クイリ」と呼ばれる
三角帽子のような岩山にまつわる、「クイリのヘルメット」という物語です。
ある日、何人かのメネフネがフアラライ山を見上げながらひそひそ話をしていました。
「あの山のてっぺんを切り取ってみたらどうだろう」と1人のメネフネ。
「そんなことをしてどうするんだ?」当然他のメネフネ達は訊きます。
「だいたい、切り取った後、どこに置くんだよ?」
「いや、クイリの岩山があるだろう、あそこの上にかぶせたら、ちょうどヘルメットのようになるんじゃないかと思ってさ。」
みんな笑います。「クイリのヘルメットか、そいつぁ、いいや」
メネフネのリーダーも、「なかなかいい計画だ。ハワイの人達がそれをみたら、我々メネフネが神のような力を持っていることを思い知ることにもなるしな。」
というわけで何百人ものメネフネが集まり、いきなり工事に取りかかりました。やがて、鶏が鳴き、彼らは工事を中断します。彼らのルールで、雄鳥が鳴いた後は仕事をしてはいけないことになっているからです。「もう朝かい!」と彼らは叫びます。「でも変じゃないか?まだ星が見えてるぞ。さっきの鶏が狂ってたんじゃないかな。今後のこともあるし、その鶏を殺してしまおう」で、本当に殺してしまいました。
翌日、くだんの鶏をまだ、かまどの中に入れたまま彼らは仕事に出かけました。と、やはり真夜中に鶏が鳴くのです。「おい、鶏は殺したんじゃなかったっけ?」「あんな変な鶏が2羽もいるなんて思わなかったよ」とにかく、工事は中断して、彼らは家に帰ります。そしてかまどの中を見てみると、なんと、空っぽ。彼らは、食事にもありつけなくなってしまって、がっくり来てしまいました。
あまりにもがっくり来たので、彼らはもう工事をする気もなくなってしまいました。
多分、カネ神が彼らの計画に気づき、工事をやめさせるために聖なる鶏を遣わしたのでしょう。メネフネたちが鶏を殺したことに気がついたカネは「命の水」をかけて蘇らせ、再び真夜中の12時に鳴かせたのです。というわけで、結局、メネフネは「神にもまさる力」を誇示することはできなかった、ということです。