8世紀頃のタヒチでの話です。当時タヒチにはキイという名の王様があり、彼にはウルと
ナナウルという2人の息子がいました。そのころタヒチではすでに人口増加の問題が起き
ており、人々は、新しい入植地を模索している状況だったといいます。
そんな中、北の彼方に楽園があるらしいという噂が伝わってきます。ウルとナナウルは、
すぐにでも出航しようとしますが、キイ王は1週間にも及ぶスポーツ大会を開き、各種目
の優勝者をえりすぐって、精鋭中の精鋭をウルとナナウルに同行させてハワイに向かわせ
たのです。
ハワイに到着した2人は、相談の末、ウルがハワイ島とマウイ島を統治、ナナウルがオア
フ、モロカイ、カウアイを統治することになりました。この兄弟を始祖とするウル王朝、
ナナウル王朝こそが、その後、ハワイで最も高貴な血とされ、直系の子孫は最も高いマナ
を持つとされたのです。
ちなみに、ハワイ島のウル王朝は、11世紀にサモアから渡来したピリ王朝にとってかわ
られましたが、マウイのウル王朝は、18世紀末にカメハメハ大王と争ったカヘキリまで
存続していました。また、ナナウル王朝はカウアイ島で存続し、1810年にカメハメハ
に恭順したカウムアリイはその直系といわれています。
カメハメハ大王自身は、後発のピリ王朝の末裔であり、ウル王朝直系の正妻ケオプオラニ
には頭が上がらなかったといいます。