とはいえ、ウミの政治も最初から安定したものではありませんでした。
領土も分割して家来に与えたとはいえ、それぞれの領土には昔からの豪族達が
幅をきかせています。
ヒロにはクルクルアという名の地元の豪族が勢力を誇っており、ウミに対しても
完全に従属しているとはいえない状況でした。ウミはお忍びでヒロにでかけていき、
そこでクルクルアの娘を娶りました。
ところがこの娘がウィリウィリのネックレスをつけているのが気になったウミ。
ウミは、王族の人間は、鯨の歯のネックレスをつけるものと決めています。
さらによく見ると、ヒロの村中でウィリウィリのネックレスが流行っているようです。
これで、クルクルアの反逆の証拠がつかめた、としたウミは急いでワイピオに戻り、
軍を率いてヒロへ進軍、クルクルアの娘以外の主要な人物は全て倒し、ヒロは完全に
ウミの傘下に入ったのです。
ヒロへの進軍の途中、ナウという名の漁師が、仕事中、自分の網にティーリーフとか
タロイモの葉がかかってくるのを見て、敵が攻めてきていると察知します。
クルクルアに忠実だったナウは、漁師でありながら単身、行軍中のウミ軍に向かい、
マウナケアのせまい道をうまく利用して常に1対1の勝負に持ち込み、1人で40人
もの兵士を倒したのです。最後にはナウは倒されてしまいますが、ウミは敵ながら
あっぱれな男ということでナウを丁重に葬ってやりました。
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プナの豪族フアアは昔からの友人であった部下、ピイマイワアが無事に倒しました。
そしてピイマイワアはカウ地方に軍を向けます。
カウには、盲目のイマイカラニという豪族がおり、彼は10本の槍を同時に投げて
全て命中させるという豪傑で誰も手が出せません。
彼が盲目でも狙いが正確なのは彼の飼いならしているアヒル達が方角を知らせて
いるからだと見抜いたピイマイワア、まずはアヒルを殺し、次にイマイカラニの部下
たちを倒し、最後にイマイカラニを1人きりにして、どこからも方角を知らせるものが
いなくなったことを確認してついに彼を倒したのです。
こうしてカウも無事にウミの支配下に入りました。
コナにはエフヌイカイマリノという豪族がいましたが、彼は老齢のため、素直にウミに
忠誠を誓いました。
ウミ政権もやっと安定し、ウミは政治に専念します。彼の政治は、老人や孤児にやさしく、
人々につくすものでした。ウミ王の治世のときには、殺人と盗みがなくなったといいます。
また、農業と漁業の振興に努め、ワイピオ渓谷のタロパッチを大幅に拡張、職業の分化、
専門化も奨励して技術革新につとめたともいわれています。