ハワイの神話と伝説~ホロホロコラム~ホロホロフライト(2)

(2004.1.11)

久々のホロホロコラム、ホロホロフライトその2です。

3年前のホロホロフライトその1でIslander AirのDASH-6搭乗記を書きましたが、大変残念なことにその後 DASH-6は姿を消してしまい、現在、ハワイでホロホロフライトが楽しめるのは、観光飛行用のフライトを除けば、 今回ご紹介するPacific Wingsという航空会社だけになってしまいました。Cessna402Cという、2パイロット、 乗客8~9人乗りという小さなプロペラ機で、マウイ島カフルイ空港をベースにハワイの隅々の空港まで定期便を運行しています。

以下、ある夏の日の、Pacific Wings搭乗記です。

■日本にて(予約)

予約はTravelocityを利用。今回、ホノルルからマウイ島カフルイに行くだけですが、
  往路:ホノルル-カムエラ(ハワイ島)経由-ヒロ(ハワイ島)経由-カフルイ!
  復路:カフルイ-ハナ(マウイ島)経由-ホノルル!
という、ホロホロフライト満喫のルートで予約。直行便と価格は変わりません。小さな航空会社ですが、e-ticketでの発券となります。

■ホノルルにて

日本からホノルルに着いたその日の夕方の便を予約していたのですが、ご存知のように日本からホノルルへの到着は朝です。そこで、Pacific Wingsのカウンターで重い荷物を一時預かってもらい、ついでに超早めのチェックインも済ませてホノルル市内へ。 チェックインの際に、「こんな回りくどい便じゃなくても、直行便が空いてるので変えてあげるよ。」と親切な申し出があり ましたが、「いや、飛ぶのが好きやねん。」とか何とか言って、若干怪訝な目で見られながら搭乗券を発券。(写真1)。

ホノルルで色々と用を片付けたのち、ダウンタウンからタクシーで再び空港へ。
これまたご存知のように、タクシーで「ホノルル空港まで」というと、「どのエアラインに乗るの?」と聞かれます。 (そのエアラインのチェックインカウンタ付近につけてくれる)。ところが「Pacific Wingsだ」と言っても通じません。

ハワイ州の外に支社も無く、日本での知名度がいまひとつなのは仕方が無いとしても、 マウイ島ベースの航空会社のせいかホノルルでも知名度が低いようです。「とにかくコミュータエアのターミナルに行ってくれたら いいから」と言っても「あそこはアロハ(航空)とハワイアン(航空)だけやで」とか言って頑固です。 「ええねん。責任はこっちが持つからとにかく行ってくれ」と説得して^^;空港へ。

カウンターでさっき預かってもらった荷物を返してもらって若干中身を入替え、今度は手荷物として預け入れ。 定刻になりいよいよ出発。搭乗直前に1人1人名前を呼ばれ、そこで座席が決まります。機内サービスなんかは勿論無いので、 事前にミネラルウォーターのペットボトルが配られるのがご愛嬌です。

写真1:ボーディングパス
(あとで回収されてしまいます)
写真2:Pacific WingsのCessna402の後ろ姿
(ホノルル空港コミュータターミナル)

■ホノルルからカムエラへ

機内は満席。ホノルル~ワイキキ市街を眺めつつ、ダイアモンドヘッドの向こうのあたりまで沿岸を飛んだのち、 オアフ島を離れていきます。席は右側。普通、「ネイバーアイランドに行くときは左側の座席が、景色がよく見える」 と言われますが、何しろ縦2列しかないので、どちら側の風景も、ちょっと首を伸ばせばよく見えます。

写真3:パンチボウルを上空から 写真4:ダウンタウン上空

目的地のマウイ島を左手に見ながら通り過ぎて、機はハワイ島へ。サウスコハラのあたりからハワイ島に入り、 大阪府の半分の広さを持つといわれる個人所有の牧場、パーカー牧場を突っ切りながらカムエラ空港に到着です。 空港も牧場の中にあるような感じで、牛がのんびり草を食んでいます。

写真5:カムエラ空港からの風景。右の牛は赤い枠の中の拡大。

■カムエラからヒロへ

カムエラで乗客は大半が降機。客は2人だけになってしまいました。そして機はヒロへ。予想通り、マウナケアが美しい!。 この景色を見るためだけに遠回りしたようなものです。すばる天文台もよく見えます。

写真6~8 マウナケア。だんだんズームイン。

黄昏のヒロ空港に到着。ここで残り1人も降機。「ひょっとしてフライングタクシー状態になるのか?」と思いきや、 5人くらい乗ってきました。カフルイ空港に到着したときにはあたりは真っ暗。直行便なら僅か30分で到着するところを 3時間以上かけての到着です。

写真9:ヒロ空港の黄昏

■カフルイからハナへ

復路です。カフルイ空港まではタクシーに乗ったのですが、さすがにマウイでは「Pacific Wings」で通じます。空港近くの道路標識にもちゃんと「Pacific Wingsはこちら」と表示が出ています。 この日は8月30日。夏休みも終わりということで、ホノルル空港へ向かうアロハ航空やハワイアン航空のチェック インカウンターはごった返し状態ですが、Pacific Wingsのほうはガラガラです。ハナに向かう乗客は6人。主パイロットは女性でなかなかカッコイイ。

ハナに向かってはずっと海岸線沿いの絶景が続きます。有名なハナドライブも見え隠れしています。

写真10:ハナドライブ遠景その1 写真11:ハナドライブ遠景その2

ハナ空港は本当に小さな空港です。そしてまた面白いのは、飛行機が着陸後、タキシングしながらランウェイの中で くるりとUターン!。セスナならではの芸当ですね。着陸のコースを180度折り返して離陸するわけです。

写真12:ハナ空港。パイロット(右)も一緒に
降りてGH業務を行なうようです。

■ホノルルへ

ハナから再搭乗の際、「席を左側に移ってね」と言われました。ハナまでは右側の席で、絶景にずっと見とれて いられたわけですが、今度は帰路、左側で楽しんでね、ということのようです。

おかげで再び絶景を楽しむことができ、その後カフルイのあたりで洋上に出た後は風景も海ばかりでウトウトし始めた頃です。 私は操縦席のすぐ後ろに座っていたのですが、誰かが私の膝を叩くので目が覚めてしまいました。「何?」と思って目を開けると、 パイロットが「滝が見えるよ!」とわざわざ起こしてくれたのでした。

機はすでにモロカイ島に差し掛かっており、有名なモアウラの滝、ハワイ州最長の滝にして、陸地側からだとたどり着くのが 至難の技といわれるあの滝が間近に見えているじゃありませんか。「おお!素晴らしい!ありがとう!」と、 写真を撮るのも忘れて(ちょっと後悔)見入ってしまいました。

そしてカラウパパ半島、カラウパパ空港のランウェイを見ながら機はホノルル空港目指し洋上へ。

写真13:モロカイ島カラウパパ空港のランウェイ

■とにかく

定期便でありながら、これだけ景色に配慮して飛んでくれる飛行機はちょっと無いのではないでしょうか? サービス精神もたっぷりです。この記事を読んで「私も一度Pacific Wingsに乗ってみよう」という人が1人でも増えて恩返しができれば、なんてことも考えた素晴らしい体験でした。

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