(2006.10..20)
現地時間で2006年10月15日午前7時過ぎ、ハワイ島カイルア・コナの北20kmの場所を震源地とするマグニチュード6.7の地震が発生しました。20年
ぶりの大規模な地震だったそうです。日本でも報道されていたように、地震の被害は大したことはなかったのですが、地震直後から停電が続き、特にオアフ島での大停電は各方面
に甚大な影響を与えたようです。
実は私、地震が起きた際、ちょうどカイルア・コナに滞在中で、しかもその日が帰国日。思い切り影響を受けてしまった1人です。
その日の朝は7時に起床。部屋は4階で、ホテルのラナイ(ベランダ)から「今日もいい天気だ」と、のんきに外を眺めていたそのとき、突然下から突き上げるよう
な揺れが。最初はラナイが壊れたのかと焦りましたが、部屋中揺れていたので地震だと気づき、慌てて部屋の中へ。天井では大きなファンが回っていたのが、羽根だけでなくファ
ンの本体ごと回り始めています。ベッドサイドの電気スタンドとかは床に落ちて破損。いつの間にか停電してTVも消えてます。
「これはエラい事なのでは・・・?」と、もう一度ラナイに出てこわごわ外を覗いてみると、ジョギングしていた人は、何事もなかったかのように走り続けています
し、プールサイドで日光浴をしていた人も全然動じていない様子。「あれ?こんなことは日常茶飯事なのかな・・?」といぶかりつつ、階段で1Fに降り、ホテルの敷地内にある
オープンバフェに朝食に行きました。
ここでも変わったことといえば、停電でジュースのサーバーが使えなかったことくらいで、みんな平然と朝食を食べています。そんな中、私と同じような旅行者風の
客が地元の老人に話しかけ、「こういうこと(地震)はしょっちゅうあるの?」と訊くと、老人が言うには、「あー、これはあれだ。マダムペレのWakeup
Callだな。」「Wakeup Call~~!?」と、その場に居合わせた一同爆笑。・・とまあ、非常にのんびりした雰囲気の朝でした。
部屋に戻り、帰り支度を整えていると、ホテルのスタッフが「全員ハイウェイグラウンドに集合!」と、各部屋のドアを1つずつ叩いて回り始めました。一応、急い
でその場所に行ってはみたものの、集まりつつあった客はまだ数名。これは、全員揃うには一時間くらいかかるかもしれないなと思い、こちらはとにかくチェックアウト直前だっ
たのでまた部屋に戻り、支度を完了させてフロントでチェックアウト。部屋代そのものは前払いしてあったので駐車場代を払うだけですが、「ひょっとして停電なので記録がわか
らなくてチャラかな?」とつまらない期待を一瞬抱きましたが、しっかり紙にメモしてあったようです。
コナ空港への道は単純ですが、途中の信号機が一部停電しています。しかし、さすが安全運転の国ハワイ。譲り合い精神の賜物で、信号機なんて無くても流れはスム
ーズです。
空港でのチェックインは、停電のせいでボーディングパスは手書き。それは全く構わないのですが、搭乗予定の11:00発Jalways79便は、「いつ出発になるか
わからない」とのこと。空港に隣接しているオニズカスペースセンターで遊んでようかな、と思いましたが、そちらも停電で休業の様子。しかたなく、ボディーチェック(機械を
使わずにやっていた)を済ませて空港内へ。
コナ空港というのはご存知のかたも多いと思いますが、コテージ風の小さな建物が集まった「露天の」空港です。その日は快晴で風もさわやか。日陰で本など読みつ
つ時間つぶしをしていました。とても快適です。手持ちのノートPCでインターネットに接続しようとも試みましたが、停電のせいかどうか、無線LAN(WiFiといいます)
は一瞬つながっただけでメールの送受信にまでは至りませんでした。ただ、その一瞬で覗けたニュースではじめて、今回の地震は火山のせいとかではなく、普通の地震でM6以上
あったこと、ハワイ州中が停電していることなどを知ったわけです。(携帯電話は普通に使えましたが)
見知らぬ乗客同士も互いに少しずつ打ち解けてきて、手持ちの情報交換などが始まります。「津波の心配は無いらしい」「ホノルル空港は閉鎖されてるらしい」など
、色々な情報が飛び交います。JALの配慮でミールクーポンが配られ、ゆっくりと時間をかけて昼食を取りました。そして14時。3時間遅れで出発になりましたが、コナ空港
での待ち時間はなんだかんだで非常に快適なものでした。
それがオアフ島近辺に来るとなんだか怪しい雲行き。着陸すると外は雨の様子です。そして飛行機もtaxing
wayで立ち往生。機内で1時間くらい待たされました。でもまあ、機内も決して広くはないとはいえ、Magicで時間つぶしできましたから特に不快感はありませんでし
た。
状況が一変したのは税関手続その他のために機外に出てから。コナとはうって変わってホノルルは大雨です。しかも日本行きは朝からまだ1便も飛んでいないようで
、2千人以上の旅行者が、停電で薄暗い空港内のロビーにビニールシートを敷いたりしてぐったりしているではありませんか。朝6時頃からすでに10時間も待たされている人た
ちもいるとのこと。せめて晴れていれば明るい場所で待てるのに、なんだか難民になったような気分です。ここでもJALが気を利かせて給水コーナーを作ったりうちわを配った
りしていましたが、どうせ足止めされるのだったら、コナでもっと待っていたかったと思ったのは私だけではないはず。
しかしやっと17時頃、まずはメインランド行きのほうのロビーの照明が回復。歓声と拍手が起こります。続いて日本行きのほうのロビーも回復し、やっと手続開始
です。要するに、ホノルルでは搭乗客が多すぎて、コナのように人手でボディーチェックをするわけにもいかず、停電が回復するのを待ってボディーチェックを始めざるを得なか
ったために大幅な遅れにつながったようです。
結局成田に着いたのは7時間半遅れの23:30。皆様お疲れ様でした。
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ハワイにいる間は、地震の詳細な情報は結局わからずじまいで、帰宅してから改めて地震に関する情報を集めてみました。
【停電】
オアフ・マウイ・ハワイの3島で停電の被害が出たようですが、オアフ以外は長くても数時間で復旧していたようです。オアフで被害が長引いたのは、いくつかある
発電所のうち2つが同時に「tripped
out(やられた、という意味かな)」して、残りの発電所が過剰に頑張ったせいで全体が過負荷になってオアフの全システムダウンになったとか。(アルゴリズムの
問題か?)
で、急速に回復させるとまた過負荷の問題があるので、「わざとゆっくり回復させた」(HECO(ハワイ電力)談)ということのようです。
地域によっては2晩めの停電に突入したところもあったようですので、空港などは優先して回復させていたんでしょうね。
【死傷者】、
幸い、地震がもとで亡くなったり、重傷を負った人は全くいなかったようです。
【道路や建造物の被害】
ハワイ島の19号線と270号線が一部片道走行になっている以外は道路はOK、建造物も、数えられる程度の被害だったようです。このあたりは、ハワイ観光局の
地震情報ページに詳しく載っています。
http://www.gohawaii.com/default2.aspx
ただ、上記ページには無いものの、プウコホラ・ヘイアウなどの石造りのヘイアウは結構被害を受けているようです。(下の写真)。実は、私は地震の前日、プウコ
ホラにも寄って写真を撮ったりしていたのですが、その写真は、石組みが崩れる前の最後の写真になってしまったのかもしれません。
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プウコホラヘイアウの惨状。Photo by Andrew Walden,
Freedom to Report Real Newsより |
ちなみに、ハワイ州のリングル州知事がハワイ島の地震被害状況について出していたコメントがちょっと笑えました。
「ハワイの観光業に幸いだったのは、旅行者のほとんどがカリフォルニアと日本からで、考えうる限り最も地震・停電に慣れた人たちだったこと」 だそうです。