前章に引きつづき、19世紀後半から20世紀前半にかけて、ハワイの神話伝説の英訳出版で活躍した人々をご紹介します。
彼の英語表記があまりにも流麗なために、かえって「古典を損なっている」という批判もあるようですが、
文学作品としての完成度が群を抜いているという事実に間違いはありません。
Westerveltは1849年オハイオ州生まれ、オバーリン大学で神学を修め、各地の教会の牧師を歴任した後、
1899年になってハワイに腰を落ち着けます。彼のスタンスは現地の古老からのヒアリングではなく、
膨大な資料をもとにそれを再構成・整理して発表する、というものでした。これまたブルフィンチの取った手法と
同じです。彼の著書には出典を明記していないものも多いため、学術的には批判もあるようですが、
ハワイ神話の伝道師としての彼の功績を疑う人はいないようです。
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