嫉妬に狂ったペレは、配下の軍団に命じて2人を攻撃させます。最初に命令を受けたのは
火の軍団と呼ばれる精霊達。しかし彼らはヒイアカとロヒアウの愛に感動し、ロヒアウの
足元に灰を落としただけで引き上げてしまいました。引き続く精霊達も皆同様です。
消極的な精霊達にペレの怒りはついに爆発し、ペレみずからが持てる力を全て使って2人に
たたきつけました。2人は溶岩と大火災に包まれます。ヒイアカは、まがりなりにもペレ・ファミリー
の一員なのでこのくらいのことで死んだりはしませんが、生身の人間であるロヒアウは
ひとたまりもありません。熔岩の奔流に呑まれ、あっという間に彼は岩になってしまったのです。
ヒイアカ、これまで限りなく忠実で優しかったヒイアカは、愛を確かめ合ったばかりの夫
ロヒアウの死を目の当たりにしてとうとう発狂してしまいます。なんとヒイアカ自身が熔岩を流し、
火口を爆発させ、ペレとその姉妹達に猛攻撃をしかけたのです。そして、ペレたちをいったん
退かせると、ロヒアウの魂を追いかけて地下世界へと向かって去っていきました。
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ヒイアカの豹変にペレ達は驚き、牢獄に入れていたワヒネオマオから、旅の間のヒイアカの
誠実さと苦労を全て聞きます。そして、遅まきながらも後悔し、自分の非を認め、ワヒネオマオに、
どうしたらヒイアカを幸福に戻せるのか真剣に相談したのです。
ワヒネオマオはヒイアカの姉達といっしょに、地下世界をさまようヒイアカを迎えに行きました。
姉達は口々にヒイアカをなぐさめてくれますが、彼女は一切口を開こうとしません。
「一番年下の可愛いヒイアカ」の面影はすでに無く、大人の女がそこにいたのです。
一方ペレは、ロヒアウの体を熔岩から出して修復し、さまよっていたロヒアウの精霊もつかまえて
ロヒアウの2度目の蘇生を行いました。
そしてヒイアカとロヒアウは、2人だけでカウアイ島に出発していきました。
そこでは、ロヒアウの親友パオアをはじめカウアイの人々が心から2人を祝福してくれ、
2人はやがて本当の死が訪れるまで、夫婦として幸福に暮らしたということです。