兄のためにカウアイからやってきた妹たち。名前は、マイレ・ハイワレ(華奢なマイレ)、
マイレ・カルヘア(芳しいマイレ)、マイレ・ラウリイ(可愛い葉のマイレ)、
マイレ・パカハ(貝のようなマイレ)、そして末っ子がカハラ・オ・マプアナといいました。
名前のとおり、彼女達は、マイレの良い香りを漂わせることができ、その香りが
イカワイの家にも届きました。「あら、いい香り。何かしら」とたずねるイカワイに、
ワカが答えていうには、「この香りはマイレ姉妹のもの。彼女達の兄があなたと結婚しよう
と企んで、妹達に協力させているのですよ」と、何故か何もかもお見通しです。
まだ結婚する気などなかったイカワイは、ワカを通じて皆にお引取り願うように伝えます。
がっくりと肩を落とすアイオヒ。妹たちを「この役立たず」と罵って、彼女達を
置き去りにしたまま、ひとりカウアイ島に帰っていってしまいました。
行くあてもない5人は、とりあえずライエイカワイの家の近くの洞穴に住み、毎夜、交代で
歌を歌ってイカワイに聞かせました。さらに5日目の夜には、カハラオマプアナがティーの葉で
笛を作り、美しい音色をかもし出しました。
その音色に心を打たれたライエイカワイは、5人を家に招きいれ、一緒に暮らすことになったのです。
そこでの暮らしは、それは楽しいものでした。イカワイは、常に鳥の羽の中に浮かび上がる
ように座っていました。髪にはレフアのレイ。可愛いイイ鳥が蜜を吸いに集まってきます。
また、彼女達の食事も鳥たちが運んできてくれるので何の心配もありません。
毎日、みんな歌い踊って楽しくすごしていました。
そんなある日、イカワイは散歩がてらに、彼女を守るモオを皆に紹介。このモオはキハという
名前で、彼女には極めて従順だが、彼女に危害を与えようとする者たちを食べてしまうオオトカゲです。
キハはマイレ姉妹をじろり、と一瞥すると、穏やかな表情になりました。どうやらマイレ
姉妹はキハから信頼を得ることができたようです。