昔、オアフ島にカハウオカパカとマラエカハナという夫婦が住んでいました。
2人には次々と子供が生まれますが、なぜか全て女の子です。しかも、生まれてくる
ごとに可愛い女の子になっていきます。
しかし夫のカハウオカパカは男の子が欲しかったので、生まれてきた子供は全て
里子に出していました。妻のマラエカハナはお腹を痛めて生んだ子供が次々と
よそにやられるのがつらくてたまりません。
そんな中、ある雷雨の日、しかもちょうど夫が留守のときに、彼女は双子の女の子を
出産したのです。このままだと双子は再び夫が里子に出してしまいます。
どうせ他の人に育ててもらうのなら、と、彼女は日頃から親しくしていた老僧夫婦
のところに出向き、みずから2人の子供を託しました。
老僧は妻ワカと相談し、双子のひとりライエロヘロヘをクカニロコに連れて行って
かくまい、妻ワカはもうひとりのライエイカワイをワイアプカの秘密の洞窟に
連れて行ってかくまいました。
双子の女の子はそれぞれ大変美しい少女に育ちました。2人はそれぞれ密かに
育てられていたのですが、ライエイカワイの住む洞窟は、彼女を祝福するかの
ように常に虹がかかっていたため、あるとき、不思議に思って訪ねてきた若者に
その美しい姿を見られてしまいました。
彼女の美しさの噂はあっという間に広まり、色んな人が訪れてくるようになりました。
このままではまずい、と判断したワカは、引越しを考えます。カヌーを用意して若い漕ぎ手を
雇い、イカワイには顔を隠させつつ、2人はハワイ島のパリウリ(※)を目指しました。
2人がパリウリに到着すると、美しいオオの黄色い羽で
作った家がちゃんと用意されています。家の周りには赤や黄色のレフアの花が咲き乱れ、
色とりどりの鳥たちにあふれるような果物。2人はここで天国のような生活をはじめたのでした。
※パリウリとは、ハワイの多くの神話に登場する理想郷。ハワイ諸島各地にパリウリという
名を持つ地名が残っていますが、ここに登場してくるハワイ島プナ地方にあったパリウリは
特に有名です。