その頃、カウアイ島の若くてハンサムな酋長アイオヒクプアは、毎夜のように
不思議な夢を見ていました。夢の中に必ず美しい少女が登場してくるのです。
ただ、名前はおろか、どこに住んでいるのかも、何しろ夢の中なのでわかりません。
そこでアイオヒクプアはカヴァ酒の力を借り、意識的に夢を見ることに成功。
彼女がライエイカワイという名前で、ハワイ島プナに住んでいることを聞き出せたのです。
彼女を自分の妻にしようと決心したアイオヒクプアは、部下に命じて数々の贈り物を用意させ、
単身、パリウリに向かいます。贈り物の中でも特に自慢の品は、彼のステータスを誇示する
黄色の羽のマントです。
ハワイ島、コハラに到着したアイオヒクプア。そこではちょうどボクシングの試合が行われて
いました。彼は、「そうだ、この試合に参加して優勝すれば、自分の名声がパリウリまで届くのでは
ないか」と考え、実際に優勝してしまいます。
そして意気揚々とパリウリを目指し、自慢のマントを羽織ってついにライエイカワイの家の
前までやってきました。ところが、彼女の家はあまりに素晴らしすぎました。なにしろ
家全体がオオの黄色い羽でできており、その神々しさは目もくらむばかりです。
彼は、自慢のマントがなんだかみすぼらしいもののように思え、引き返して別の作戦を
練り直すことにしました。
再びコハラに戻ったアイオヒは、しばらくはボクシングに熱中して過ごしていました。
そんなある日、試合を見物に来ていた雪の女神ポリアフと知り合います。2人はたちまち
恋に落ち、ポリアフの白いケープとアイオヒのマントを交換するまでになります。
しかし時が経つうち、アイオヒはやはり自分がイカワイのことを忘れられないことを
自覚し、ポリアフのもとをそっと抜け出して、故郷のカウアイ島に使いを送ります。
彼が考えたのは、カウアイ島にいる5人の妹たちを呼び寄せて、まず、妹たちをイカワイに
接近させ、気安くなった時点で自然の流れで兄を紹介させようというものでした。